工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
バナジウム-モリブデン系触媒によるブタジエンの部分酸化反応と触媒作用
相 衞
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 73 巻 5 号 p. 950-954

詳細
抄録

V2O5 および V2O5-MoO3 系触媒を用いて, ブタジエン, フラン, クロトンアルデヒドの接触空気酸化を, 350℃, 空気過剰のもとで行ない, V-Mo 組成の変化による, ブタジエン酸化の活性, 選択性および反応機構におよぼす効果を検討した。
V2O5-MoO3 触媒のブタジエンなどの酸化活性は, Mo 含量 20 atom% 付近が最大であり, ブタジエン, フラン, クロトンアルデヒドの反応性は, ほぼ同じ程度であった。ブタジエン酸化の中間生成物であるフラン, クロトンアルデヒド生成量は, V-Mo 組成によらず, ブタジエン反応率約 50% 付近に頂点をもつ山型となり, V-P 系触媒にくらべ, フランの生成量は 1/3 程度で, またフランの約 1/2 のクロトンアルデヒドの生成がみられた。
無水マレイン酸への選択率は, ブタジエンからは, V2O5 触媒で 43%, V2O5-MoO3 (Mo/V>1/2) で 53%, フランからは, V2O5 で 60%, V2O5-MoO3 で 73% であった。Mo 添加により, ブタジエンから無水マレイン酸への選択率が増加するのは, ブタジエンからフランへの段階が影響されたのではなく, フラン以後の段階の選択性が高められたためと考えられる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top