1970 年 73 巻 5 号 p. 950-954
V2O5 および V2O5-MoO3 系触媒を用いて, ブタジエン, フラン, クロトンアルデヒドの接触空気酸化を, 350℃, 空気過剰のもとで行ない, V-Mo 組成の変化による, ブタジエン酸化の活性, 選択性および反応機構におよぼす効果を検討した。
V2O5-MoO3 触媒のブタジエンなどの酸化活性は, Mo 含量 20 atom% 付近が最大であり, ブタジエン, フラン, クロトンアルデヒドの反応性は, ほぼ同じ程度であった。ブタジエン酸化の中間生成物であるフラン, クロトンアルデヒド生成量は, V-Mo 組成によらず, ブタジエン反応率約 50% 付近に頂点をもつ山型となり, V-P 系触媒にくらべ, フランの生成量は 1/3 程度で, またフランの約 1/2 のクロトンアルデヒドの生成がみられた。
無水マレイン酸への選択率は, ブタジエンからは, V2O5 触媒で 43%, V2O5-MoO3 (Mo/V>1/2) で 53%, フランからは, V2O5 で 60%, V2O5-MoO3 で 73% であった。Mo 添加により, ブタジエンから無水マレイン酸への選択率が増加するのは, ブタジエンからフランへの段階が影響されたのではなく, フラン以後の段階の選択性が高められたためと考えられる。
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