工業化学雑誌
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活性炭による煙道ガス中のイオウ化合物の乾式脱硫法の研究
武内 次夫田中 保
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1893-1898

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抄録

排煙脱硫は公害解決の重要な手段である。著者らはこの方法として活性炭を使用する方法を検討した。その結果,前報において植物を原料とする活性炭上に飽和硫酸アンモニウム水を保持させたものは,保持させない場合に比して約3倍のSO2の捕獲率を示すことを見出した。今回は引続き排煙中のイオウ化合物の濃度変化,活性炭に対する通過ガス量の変化,これらが活性炭のSO2の捕獲率への影響を測定した。またその他の各種無機成分を活性炭上に保持させることによってSO2の捕獲率が如何に変化するかを検討した。結果の一例をあげれば,白金を活性炭に対し重量比1%を保持させた時,活性炭のみのSO2捕獲に対し約3倍に捕獲力を増大し,さらにこれに飽和硫酸アンモニウム水を保持すれば約5倍に向上することを見出した。以上のことから排煙中のイオウ化合物除去効率は活性炭の種類が関係すると同時に,活性炭上に存在する無機成分も重要な役割をしていることを知った。
上記の基礎研究から工業的有力な排煙脱硫として新しい活性炭の使用法を見出すことができた。

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