t-ブチルベンゼンの自色光照射下での塩素化反応を行なった。塩素化生成物の NMR スペクトルを用いて分析した結果, t-ブチル基のプロトンのそれぞれの化学シフトとその一連の側鎖塩素化物との間に, 塩素化の程度によって規期性が認められた。これらの結果と環プロトンの化学シフト変化から, 生成物の全成分が確認された。0℃ における反応においては, ベンゼン環に対する付加反応が主として起り, 同時に, 側鎖に対する置換反応もわずかに起ることが認められた。反応温度が上昇するにつれて, 付加反応は減少し, 一方置換反応は増加した。t-ブチルベンゼンの平均塩素数が6の時, 付加生成物の全塩素化物に対するモル比は 30℃ において 0.75, 60℃ においては 0.15 であった。80℃ における反応においては, 付加生成物は全く認められないで, 側鎖置換生成物のみが得られた。
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