著者らは繊維性蛋白質からフィルム, 糸などを電気化学的に成形する方法を開発してきた。それらの製晶の原料である腱, 皮などは, かなりの量の脂質を含有している。
本実験では, コラーゲンフィルムの機械的性質におよぼす脂質の影響について検討した。まっこう鯨の腱の脂質は, 有機溶媒 (クロロホルム-メタノール1:1)で処理して抽出した。電気化学的に成形したフィルムの機械的強度は脂質含量の減少とともに増大した。逆に, 脂質を添加すると機械的強度は減少した。これらの結果からフィルム中の脂質はフィブリル同志のからみ合いを妨げるものと考えられる。
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