日本化學會誌
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蛋白に關する研究(第十五報)
溶液内に於ける蛋白の行爲(その二)
近藤 金助山田 孝雄
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1932 年 53 巻 10 号 p. 945-953

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抄録

1. Casein及びNaOHの濃度を夫々次に示すが如くに變動せしめてCaseinのNaOH溶液の屈折率を測定した。
(i) 濃厚なるCaseinのNaOH溶液を水にて稀釋した場合
(ii) NaOHの濃度を常に0.025N NaOHに保つてCaseinの濃度を變化さした場合
(iii) NaOHの濃度を常に0.05Nに保つてCaseinの濃度を變化さした場合
(iv) NaOHの濃度を常に0.1Nに保つてCaseinの濃度を變化さした場合
(v) Caseinの濃度を一定になしNaOHの濃度を變化さした場合
2. その結果CaseinのNitrogen-Equivalent-Refractivity μはNaOH又はCaseinの濃度によつて一定しないことを明らかにした。ただCaseinを0.05N NaOH液に溶解した時に於てのみμはCaseinの濃度には殆んど影響せられない。
3. μの値が變動する所以は前報告に於て論述したと同様にCaseinが基成分化、基成分のIonisation, Hydration, Swelling, Volume, Contraction, Decomposition, Association等の現象に對する態度をNaOH及びCaseinの濃度によつて複雜に亦著しく變化するがためであると解釋し併せて蛋白溶液の滲透壓、氷點降下の變動も亦蛋白そのものが鹽類水素イオン又は蛋白それ自身の濃度等によつて上記の如き行爲を變動するがためであること論述した。

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