日本化學會誌
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蛋白に關する研究(第十六報)
等電溶液内に於ける蛋白の行爲
近藤 金助富山 新一
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1932 年 53 巻 10 号 p. 954-963

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抄録
(1) 等電溶液内の蛋白即ちZwitter ion formの蛋白は然らざるものに比べてElectrochemical constitutionを異にしその結果その蛋白が荷ひ得る最大の會合力を附與せられて居ることを例證をあげて説明した。
(2) 此の會合力は蛋白が持つ副結合能或はイオン間引力又はPolarisabilityにもとづくAuto-Colloid Reactionに原因し蛋白の種類によつて強弱の差が著しい。即ちZwitter ion formの蛋白も種類によつてそのElectrochemical constitutionは著しく異なるのである。
(3) 此の會合力が強いものは等電溶液内にて易く雪出沈澱する所のCaseinの如き所謂難溶蛋白である。
之に反して此の會合力が弱いものはAlbuminの如く等電溶液内にても雪出沈澱しない。
(4) 此の會合力は中性鹽類によつて促進せられるのである。硫安を濃厚に含む等電溶液内にてAlbuminが結晶沈澱するのはこの原理によるのである。
(5) Goat milk caseinの等電點は稀薄なる醋酸及び醋酸曹達混合液内の實驗によればpaH4.70-4.71である。
(6) 此の等電點は實驗の結果によればCaseinの濃度とは無關係ではなかつた。その原因は蛋白が等電行為をなす際には蛋白の濃度も亦一つの役割を持つからである。
(7) 此の事實は蛋白の構造の複雜さに鑑みて當然であつて、これによるも單簡なる化合物の性質、行爲を律し得る化學律は常に蛋白の如き複雜なる化合物の性質、行爲のすべてを律し得られないわけである。
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