日本化學會誌
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乳汁に關する研究(第二報)
山羊乳の無機成分に就て
近藤 金助森 茂樹
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1932 年 53 巻 12 号 p. 1163-1168

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抄録

(1) Toggenburgs山羊2頭につき分娩直後より一つは約40週に亘り他は約80週に亘つて4週日毎に7日間連續採乳したるものについて無機成分量を定量した。
(2) 其の結果は曩に報告した所の牛乳の場合とほぼ同様であつて泌乳期の進行に應じて乳量、無機成分量は規則的に増減することを見出した。
(3) 乳汁中の無機成分の主なるものは燐酸、鹽素、加里、石灰等であるが加里と鹽素は相隨伴して泌乳量に平行して増減するが燐酸と石灰は相共に泌乳量に背馳して増減することを見出した。
(4) 乳汁中の主要無機成分が規則的にもせよ増減するに拘はらず乳汁が全泌乳期を通じて一定の性状を保ち得るのは主要無機成分が其の性能によつて或は隨伴し或は背馳して増減するがためであつて此の事實と乳量及び含脂量との間に相關關係あることを指摘して飼料配合上の新たなる注意を暗示した。
(5) 山羊乳の無機成分のうちP/Caを各泌乳期のものに就て算出し山羊乳も亦牛乳と同じくRicket-Producing-Dietであることを示した。
本研究は文部省自然科學研究奨勵費の補助によつて行はれたのである。茲に同省に對した厚く謝意を表する次第である。

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