1933 年 54 巻 10 号 p. 949-957
(1) 化學現象に對する超音波の作用の原因につき論議を試みたり.
(2) 超音波發生装置の出力及能率は共振時に於ける結晶の負荷を負荷とせる發振器の出力及能率なる事を指摘し強力にして大勢力なる超音波發生装置設計には發振器の出力増大となる問題よりも結晶の大きさ及び超音波發生時に於ける結晶内の發熱除去或は冷却方法等に關する問題が重要なるを暗示せり.
(3) 異相系氣體發生反應に及ぼす影響を,亞鉛-鹽酸;亞鉛-硫酸;及び大理石-鹽酸の反應につき研究し,いづれも超音波の作用によりその速度に於て數倍さるる結果を得たり.
(4) 超音波の作用により發生氣泡の瞬間的結合現象あるを示し之につき論議を試みたり.
(5) 實驗結果につき考察を試み,發生氣泡による反應有効界面積の妨害に對する超音波の影響は重要なる要素にあらずして,超音波による反應速度増は他の原因によるものなる事を推論せり.
終に本實驗に當り多大の便宜と御助言を賜りたる箕作教授に對し深謝の意を表す.
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