日本化學會誌
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蛋白に關する研究(第二十四報)
各種蛋白に於ける燐、銅及び鐵の存在に就て
近藤 金助森 茂樹
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1933 年 54 巻 10 号 p. 966-972

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抄録

(1) 普通蛋白中にも燐,鐵及び銅が恒成分として存在することを知り8個のGlutenins, 9個のGliadins其の他各種の精製蛋白合計37個に就いて此の三元素を定量した.
(2) 其の結果Gluteninsの灰分は主として燐と銅でありGliadinsの灰分は主として銅であることを確め更にGlutenins, Gliadins其の他數種の蛋白にありては主として燐,鐵及び銅の三元素が灰分を組生して居るがSericins及び各種のGlobulins等にありては上記三元素の外に灰分の母體を含むことを示した.
(3) 筆者等が定量した所の燐,鐵及び銅の大部分は或は蛋白基成分のうちに有機的結合をなして存在するか或は蛋白基生分の相互を結合する役目をなして存在するものであることを説述した.
(4) 前記の三元素の外に滿俺,亞鉛,又はアルミニウム等を含む蛋白があることを暗示し蛋白の構成と榮養化學的役割とは從來の解釋を遙かに越えて複雜であることを論述した.
(5) Glutenins及びGliadinsの灰分,燐,鐵及び銅の定量値を考察しても生體蛋白は外的條件の差異によつて彷徨變異をなすことを立證し得たのである.

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