日本化學會誌
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グルコスルファターゼ(第二十報)
Charonia lampas肝臓中にグルコスルファターゼと共存するコンドロスルファターゼの分離及びその性質に就て
左右田 徳郎江上 不二夫
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1938 年 59 巻 10 号 p. 1202-1211

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抄録

(1) Charonia lampasの肝臓より得らるる酵素液中にはグルコスルファターゼと共にコンドロスルファターゼも存在し,然も甚だ強力なり.
(2) コンドロスルファターゼは礬土吸着或は燐酸鹽處理により除去し得ること示し.かくして全くコンドロスルファターゼを含まざるグルコスファターゼを得たり.從て兩スルファターゼの異同に關する疑は解消されたり.
(3) コンドロスルファターゼの最適pHは5附近にあり.又燐酸鹽により強く妨害さる.
(4) この燐酸鹽の妨害は硫酸基離脱作用にのみ著しく,還元力の増加に就ては殆ど影響なし,即ちコンドロイチン硫酸は燐酸鹽存在の下に酵素的分解により還元性エステル硫酸を生成す.
(5) 還元性エステル硫酸の一部は透析膜を通過すれどもそのN, Sの含量は原のコンドロイチン硫酸と大差なし.還元力はLeveneの構造式より期待し得る最大値の約1/2に相當す.硫酸基はコンドロスルファターゼにより分解さるるもグルコスルファターゼにては分解されず.
(6) コンドロイチン硫酸の硫酸基を遊離せしむる酵素と還元力を發生せしむる酵素とは異るものなることを實證せり.
(7) N-アセチルグルコサミン硫酸の硫酸基はグルコスルファターゼにより遊離せらる.

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