日本化學會誌
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酸化マグネシウムと酸化チタンとの固體反應(第一報)
田中 泰夫
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1939 年 60 巻 2 号 p. 212-218

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抄録

酸化マグネシウムと酸化チタンとの種々の混合比のものの加壓成型試料を1400°Cに10時間焼成せるものに就て,比重測定,化學試驗, X線分析及び顯微鏡試驗を行ひて固體反應に依て生成される化合物を決定すると共に,燒成收縮及び氣孔率等を測定してその燒結状態を明にした.之に依て知り得た事は
(1) その際生成される化合物は
正チタン酸マグネシウム(2MgO・TiO2)
亞チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)
二チタン酸マグネシウム(MgO・2TiO2)
の三者である.
(2) 2MgO・TiO2は4N鹽酸に, MgO・TiO2は12N鹽酸に溶解され, MgO・2TiO2は之にも殆んど侵されない.
(3) MgO・2TiO2の結晶の性質に就ては從來報告されたものが無いが,茲に得たものはその比重3.52で正方晶系に屬すと考へられ,その格子常數としては暫くa=4.94Ä, c=6.67Äを與へる.
(4) この糸の燒成物中2MgO・TiO2を含むもの良く燒結し,又二つの化合物の混合物に就ては他の場合は燒結の増進は見られざるに反しMgOと2MgO・TiO2との混合物は燒結著しくその中間に於て燒結は最大を示した.之はMgOと2MgO・TiO2とが共に等軸晶系に屬し且つ2MgO・TiO2の格子常數がMgOの常數の丁度2倍に當る爲と考へられる.

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