日本化學會誌
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新簡易原子價論(II)
炭素結合の理論
槌田 龍太郎小林 正久
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1939 年 60 巻 7 号 p. 583-594

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抄録

1. 總ての炭素化合物の分子又はイオンは, 4價の炭素陽イオンの周圍に,陰イオン又は分子が配位したる配位化合物として説明し得る.
2. 此の方法に依つて,分子及びイオンの立體構造を定め得る.例へばCO2, C2H2等の如く1つの炭素原子に, 2個の原子が直接結合する時は,分子構造は直線形であり, C2H4, CO3=, [C(NH2)3]+, RCOOH等の如く, 3個の原子が直接結合すれば,三角板状である.傳統的四面體構造はCH4等の如く4個の原子が,結合した時のみしか現はれない.
3. 四面體炭素, trigonal carbon, digonal carbon,芳香族炭素,二重結合,三重結合等を新配位説に從つて説明し,その量子力學的根據を示した.
4. 此の原子價説に於ては,全然共鳴の假定を必要としない.
5. 原子價,配位數及びbondの間の關係を明かにした.

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