1. 總ての炭素化合物の分子又はイオンは, 4價の炭素陽イオンの周圍に,陰イオン又は分子が配位したる配位化合物として説明し得る.
2. 此の方法に依つて,分子及びイオンの立體構造を定め得る.例へばCO
2, C
2H
2等の如く1つの炭素原子に, 2個の原子が直接結合する時は,分子構造は直線形であり, C
2H
4, CO
3=, [C(NH
2)
3]+, RCOOH等の如く, 3個の原子が直接結合すれば,三角板状である.傳統的四面體構造はCH
4等の如く4個の原子が,結合した時のみしか現はれない.
3. 四面體炭素, trigonal carbon, digonal carbon,芳香族炭素,二重結合,三重結合等を新配位説に從つて説明し,その量子力學的根據を示した.
4. 此の原子價説に於ては,全然共鳴の假定を必要としない.
5. 原子價,配位數及びbondの間の關係を明かにした.
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