日本化學會誌
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無極環状放電による化學的研究
水蒸氣の放電(第三報)
大原 英一
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1940 年 61 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

第一報に於ては水蒸氣流に無極環状放電を行ふた場合に就て述べたが,水蒸氣流に有極放電を行ふ場合にも液態酸素で冷却したトラツプの中で全く同様な反應が起る.本報に於ては有極放電による實驗を行ひ次の如き結果を得た.
1) 無極環状放電による場合と同様に50%以上の濃厚な過酸化水素の水溶液を得た.併し水蒸氣が放電管を通る距離の大小により過酸化水素の濃度に増減がある.
2) 兩電極間の距離を短縮すれば過酸化水素の生成量を減じ永久氣體となる割合が増加する.
3) 兩電極間の距離が約90cm以下になれば電極金屬の影響あリ,過酸化水素の生成を妨げる.
4) 電極は圓筒状のものが圓盤状のものに比して過酸化水素の生成量及びその濃度を大ならしめる.
5) 放電々流を増大すれば過酸化水素の生成量及びその濃度を増す.
6) 高周波電流による放電の場合には低周波電流による場合に比して過酸化水素の濃度を大ならしめるが,用ひた電力に對して生成される過酸化水素の量を減じる.而して前者に於ける場合には永久氣體になる割合を増加する.

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