1940 年 61 巻 11 号 p. 1155-1165
水銀の痕跡も存在しない硝子表面が一酸化窒素と酸素との反應に對して觸媒能を有するや否やを確認する爲,種々の硝子反應管を作り實驗した結果,其の觸媒能の存在を適確に實證し得た,触媒能は硝子表面の熱處理に依り著しく増大するが,反應管以外の硝子壁から出る微量の氣體に依り毒作用を受ける.而して此の毒作用は熱處理に依つて可逆的に除く事が出來る.又熱處理及び被毒に依る硝子表面の一酸化窒素に對する吸着能の變化は大體に於て觸媒能の變化と並行關係にあるも,前者の變化の方が後者に比して遙かに著明である.次に一酸化窒素の吸着は瞬間的に平衡に達する.その等温式から考察して吸着分子はN2O2の如く會合して居る.從つて反應は, 2NO=N2O2, N2O2+O2=N2O4なる〓つの段階に別れ,反應速度を支配するものは後者の段階の反應である.
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