日本化學會誌
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61 巻, 11 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 低温に於ける一酸化窒素と酸素との反應(第五報)硝子表面上に於ける反應
    平木 洋三郎
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1155-1165
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    水銀の痕跡も存在しない硝子表面が一酸化窒素と酸素との反應に對して觸媒能を有するや否やを確認する爲,種々の硝子反應管を作り實驗した結果,其の觸媒能の存在を適確に實證し得た,触媒能は硝子表面の熱處理に依り著しく増大するが,反應管以外の硝子壁から出る微量の氣體に依り毒作用を受ける.而して此の毒作用は熱處理に依つて可逆的に除く事が出來る.又熱處理及び被毒に依る硝子表面の一酸化窒素に對する吸着能の變化は大體に於て觸媒能の變化と並行關係にあるも,前者の變化の方が後者に比して遙かに著明である.次に一酸化窒素の吸着は瞬間的に平衡に達する.その等温式から考察して吸着分子はN2O2の如く會合して居る.從つて反應は, 2NO=N2O2, N2O2+O2=N2O4なる〓つの段階に別れ,反應速度を支配するものは後者の段階の反應である.
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1165
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 炭化殘量の測定
    高橋 治男
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1166-1171
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    有機化合物の構造と炭化性との關係を知るべく,純物質を窒素氣流中で加熱分解するとき主として生成する炭素より成る炭化塊の量を測り,之と原物質量との百分率を求め,炭化殘量と名付けて其の大小を各種物質につき比較することを試みた.
    本報では此測定法を述べ,炭化殘量は加熱速度により異る(加熱速度大なるときは小となる)事を葡萄糖につき示した.數種の糖類,蛋白質,其の他若干の物質につき,炭化殘量を150~1000°にて測定し炭化の一般的傾向を見た.糖類では,約300°で殆ど大部分分解して炭を生じ,單糖類も多塘類も炭化殘量に大差はない.蛋白質は,糖類に比し,完全に分解して炭となる速度が遅い.
  • 絲状菌の酵素に就て
    三輪 知雄, 三輪 あや子
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1172-1175
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    この實驗は絲状菌酵素に於て, Maltose, α-Pheno1-glucosid, Saccharoseに對する分解作用が,唯一種の酵素によつて爲されるか,或は夫々の基質に對する別個の酵素によるものかを明にする目的で爲された,その爲に, Takadiastase,及びくろかび(Aspergillus niger)酵素の吸着分別,熱及び水素イオンによる不活性化を行ひ,其際之等基質に對する作用が獨立的に行動するか,又は連繋的なるか,を檢した.その結果, 3種基質に對する作用はそれぞれ獨立の行動をするのがみられた。
  • 多價アルコール又はオキシカルボン酸の水溶液中におけるアルカリの影響
    久保田 正雄
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1176-1181
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    マンニッ卜其の他數種の多價アルコ一ル及び酒石酸其の他數種のオキシカルボン酸の水溶液中に種々の濃度に苛性曹達を共存せしめた溶液の各々について吸牧スペクトルを撮つた結果
    1) 水溶液中に於ける多價アルコールの吸收はアルカリ濃度が増すにつれ著しくなる.
    2) 之は多價アルコールのOHに對するアルカリ金属イオンの靜電的影響によるものと説明される.
    3) マンニット及びグリセリンの場合アルカリ濃度が高くなるとアルカリ金屬を中心とし多價アルコールを配位した錯鹽の生成を認めた.尚錯鹽の生成はカリウムの場合最も容易でナトリウム,之に次ぎリチウム最も困難である.
    4) オキシカルボン酸の場合は,アルカリの量がカルボン酸基に對し當量或は當量より小過剩となる迄は,アルカリ濃度の増加と共に特に短波長部に於ける吸收は弱まり,更に過剰のアルカリが加はると特に長波長部の吸收が著しくなる.
    (5) 以上の事實中短波長部の吸收の弱まるのはカルボン酸の解離に基因するものと説明され,過剩のアルカリにょり特に長波長部の吸收の著しくなることは,多價アルコールの場合と同じくオキシ化合物のOHに對するアルカリ金屬イオンの靜電的影響によるものと説明される.
  • 多價アルコール-銅-アルカリ系錯鹽溶液の生成と其の吸収帯
    久保田 正雄
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1182-1187
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    多價アルコール-銅-アルカリ系錯鹽溶液について,
    1) 生成の條件を精査し
    2) 各種の組成の溶液の吸收帯を測定し
    3) 溶液中の錯イオンの構造を推定した.
  • 鰮油中に新高度不飽和酸C16H24O2の存在に就て
    土屋 知太郎
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1188-1191
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    千葉縣産鰮油1試料の性状を測定せるに本邦産普通の鰮油の夫れに比し著しく異なりしを以て高度不飽和酸成分を檢索せり.其結果に據れば該油は一般鰮油と異なり比較的炭素原子數少き高度不飽和酸を著量に含み,低沸點高度不飽和酸成分中には曩に鰮油中に發見せるヒラゴ酸C16H26O2の他ヒラゴ酸よりも一層不飽和度高きC16H24O2なる新脂肪酸存在せり.
  • 珪酸亞鉛カドミウム螢光體(ZnO-CdO-SiO2)/Mn)の螢光スペクトルに就て
    上原 康夫, 田中 喜一
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1192-1198
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1198a
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1198b
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1198c
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1198d
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 柴田 善一, 鯨井 正治
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1199-1206
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1. H20+D2〓D2O+H2の平衡を測定するため
    FeO+H2〓Fe+H2O
    FeO+D2〓Fe+D2O
    の二平衡恒數を700~1000°迄の各温度で完全に熱分離効果を除く様工夫した装置により實測し,夫々次の實驗式を得た.
    logK(H2)=988.358/T+0.62544
    logK(D2)=682.376/T+0.49132
    之等を用ひD2十H2O〓H2十D2Oに對し
    logKp=305.982/T-0.13412
    を得此れより各温度の平衡恒數を計算した.
    2. H20十D2〓D2O十H2の各温度に於ける平衡恒數を第4表に掲げた分子恒數を用ひて統計力學的に計算した.其の結果は實測値と全き一致を示した.尚振動が未だ勵起せられない温度範圍に於けるKpの温度函數も算出した.
    D2+H2O=D2O+H2の平衡恒數の測定値を用ひ該反應の熱力學的計算を行ふため,各成分の分子熱に對してはPlanck-Einsteinの函數を用ひ遊離エネルギー式を建て此れより,
    ΔF298.1=-1470.8cal.
    ΔH298.1=-1838.7″
    ΔS298.1=-1.234e. u.
    を得た.
    尚H2, H2O,及びD2のエントロピーを用ひ上のΔS298.1の値からD2O(g)のエントロピーを算出した.
    S298.1(D2O)=47.26e. u.
    此の値はスペクトルの數値より計算した理論値とよき一致を示して居る.
  • 畑 忠太, 國崎 辰喜
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1207-1212
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    〓麻蠶(別名エリ蠶, Eri-Silkworm)は學名Philosamia cynthia ricini Boisduval.〓麻葉にて飼育する絹絲蟲にして蛹の含油率生蛹5.7%,乾燥蛹18%.油は28°以上にては液状にして生蛹油の特數は次の如し. d304 0.9206, n30D 1.4739, A. V. 5.87, S. V. 21〓18, I. V. 145.73,不鹸化物2.4%.
    脂肪酸は固體酸29%(パルミチン62%,ステアリン38%),液體酸71%(リノール60%,オレイン28%,リノレニン11%,他にリノール酸列C20~C22酸少量存在す).不鹸化物はオクタコサンの他にC27H46O. H2O(融點139~140°,〔α〕30D-32.86,アセチールステロール融點122~123°,其の二臭化物融點114.5~115.5°)なるスナロールを檢出して之にエリコステロール(Ericosterol, Ericosterin)と命名せり.
  • フィリッピン産サルピシアの精油(其一)
    藤田 安二
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1213-1215
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    フィリッピン,ダバオ産サルピシア精油はd-Limonene30%, d-Perillaaldehyde大約65%よりなる.この精油の原植名は未だ不明である.なぼPerillaaldehydeの誘導體中p-Nitropheny1hydrazone, 2-4-Dinitrophenylhydrazone, β-Naphthochinchoninieacid等の新誘體が作られた.
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1215a
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1940 年 61 巻 11 号 p. 1215b
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 北里 善次郎, 新海 松子
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1216-1220
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 四宮 知郎
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1221-1226
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    主として各種のニトロトルオール及びナフタリン置換體のクロマトグラフ吸着順位を檢し,次の結果を得た.
    ニトロ基の増加は僅か宛其の吸着能を増加する.
    ナフタリンー置換體では多くの場合β-化合物がα-よりも吸着能が大である.
    分子化合物は其の成分物質として吸着する.故に分離し難き異性體は一旦分子化合物によつて分離し,後この分子化合物を分解して各異性體を單離するとよい結果を得る場合がある.
    ここに取扱つた物質の吸着能と分子構造間の規則的關係を確めた.
  • グルコスルファーゼ精製法の研究と精製酵素成分の分析コンドロスルファーゼとグルコスルファーゼとの分離麹酸硫酸エステルのスルファターゼによる分解
    左右田 徳郎, 曾良 忠雄, 依川 修
    1940 年 61 巻 11 号 p. 1227-1232
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    グルコスルファターゼの精製法として新に(1)加里明礬沈澱法(2)アセトン分別沈澱法(3)硫酸安門分別沈澱法(4)諸法併用の精製法を提唱した. (1)は從來の方法と同程度の精製効果だが一層簡單である. (2)ではアセトン濃度30~50%に於て(3)では硫安の50~75%飽和に於て收量よく酵素の主要部分が沈澱し純度も相當高くなる.且つ分別沈澱法は共存するコンドロスルファターゼ,フェノルスルフアターゼとの間の混合割合を變更せしむる効果もある. (4)により最も純度の高いグルコスルファターゼが得られた.精製酵素に就てN, S, PO4, Fe等の分析を行つたが精製酵素との間に著しい差は認められなかつた.
    精製法(4)の殘液を處理してグルコスルファターゼに對するコンドロスルファターゼの割合を増加せしめることが出來た.麹酸硫酸エステルはヂェステルとモノエステルとの2種類得られフェノルスルファターゼを含む通常のグルコスルファターゼ製品では何れもよく分解されるがモノエステルは前者を除いたグルコスルファターゼでは分解され難い.
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