日本化學會誌
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スルフォン酸の觸媒能に就て(第一報)
ドデシルスルフォン酸のエステル分解作用
戸井 文一
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1940 年 61 巻 12 号 p. 1279-1282

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抄録

親脂性長鎖状或は環状原子團を有するスルフォン酸はリパーゼ類似の作用を示す一つのエステラーゼ模型として酵素化學上の見地からも重要な意義を有するものと考へられる.之等スルフォン酸を純粹に合成し,基質として純粹なる水に不溶性の脂肪酸エステルを用ひ,界面の廣さ並に他の條件を一定として之等スルフォン酸の觸媒能を比較せんとした.
先づドデシルスルフォン酸を合成し,そのラウリン酸メチルエステルに對する分解作用を試驗した.その結果ドデシルスルフォン酸加里の0.1~10.0ミリモル/lの濃度に於ける觸媒能は, 60°の場合5ミリモル/lの濃度に於て限界點に達し,又作用時間と分解度とは竝行關係にあることを認めた.
この事實よリドデシルスルフォン酸の觸媒能は,一定の廣さの界面に對しては或る濃度に於て限界點に達し,この點に於てはスルフォン酸は界面に於ける單分子吸着層が飽和することに依つて觸媒能は最高値を示すものと考へられる.

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