日本化學會誌
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分析化學に於ける基礎反應の研究(第八報)
金屬根と黄血鹽並びに赤血鹽の反應
岡 好良
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1940 年 61 巻 3 号 p. 245-254

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抄録

1) 種々の金屬根に黄血鹽並びに赤血鹽を加へるときに行はれる反應及び此の際生ずる沈澱の組成を知る目的を持つて傳導度滴定並びに電壓滴定を行つた.
2) 硝酸銅,硝酸銀,硝酸亞鉛,硝酸カドミウム,硝酸ウラニル,硝酸第二鐵,硝酸コバルト,硝酸ニッケル溶液に黄血鹽を加へるときは始めフェロシアン化金屬單鹽を生じ,後複鹽を生じた.複鹽はフェロシアン化金屬單鹽と黄血鹽の分子化合物と考へられ, xM4Fe(CN)6yK4Fe(CN)6として表すべきものと考へる.鹽化マンガンに黄血鹽を加へるときは滴定の初期より沈澱中に加里が入る.
カドミウム,マンガンは5M..2Fe(CN)6・4K4Fe(CN)6型の複鹽を生じ,ウラニル,コバルト,ニッケルは5M..2Fe(CN)6・3K4Fe(CN)6型の複鹽を,銅,銀,亞鉛,第二鐵は3M.4Fe(CN)6・K4Fe(CN)6型の複鹽を生ずる.尚硝酸銀のアムモニア性溶液に黄血鹽を加へるときはフェロシアン化銀單鹽のみを生ずる.
3) 硝酸ガリウム,硝酸鉛及び硝酸トリウム溶液に黄血鹽を加へるときはフェロシアン化金屬單鹽のみを生じ複鹽は生じない.
4) 硝酸銅,硝酸銀,硝酸カドミウム,硝酸コバルト,硝酸ニッケル溶液に赤血鹽を加へるときはフェリシアン化金屬正鹽を生じ複鹽は生じない.フェリシアン化亞鉛の溶解度は相當大である.

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