日本化學會誌
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無極環状放電による化學的研究
水蒸氣の放電(第五報)
大原 英一
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1940 年 61 巻 3 号 p. 265-268

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抄録

水蒸氣流に放電して之をトラツプに流すに,トラツプの温度が-114°C以上に於ては過酸化水素の生成を認めないが之よりも低い温度に於ては過酸化水素の生成を認め得た.而して其の温度が降下するに從ひ過酸化水素の濃度及び生成量を増加した.之は恰かも水素原子と酸素分子との反應によりて過酸化水素の生成せられる状況と甚だよく似てゐる.即ちトラツプの温度と生成せられる過酸化水素の濃度との關係は水素原子と酸素分子との反應に較べて過酸化水素の濃度が少しく小なる値を示すのみにて大體によく一致してゐる.此の事實より放電を受けた水蒸氣流より過酸化水素が生成せられる場合には,此の生成反應に與るものは主として水素原子と酸素分子とであることを推定する.

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