日本化學會誌
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バルビツル酸誘導體に關する研究(第八報)
5-メチルチオバルビツル酸の第二銅鹽に就て
西川 武一
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1940 年 61 巻 6 号 p. 559-563

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抄録

5-メチルチオバルビツル酸第一銅鹽化水素(I)は苛性曹達溶液に溶解しそれにアルコールを加へると白色の沈澱を生ずるがその沈澱は直ちに青色になり100°に乾燥すると褐色になる.この物の化學式はC5H4O2N2SCu(OH)Naである.
この褐色銅鹽を鹽酸で處理すると橙色の結晶が生ずる.化學式は(I)に相當するも第一銅鹽とは全然異る.
鹽酸が稀薄の場合は[C5H602N2SCuCl]2xH2Oを生ずる.これは鹽酸と熱すると溶解し鹽酸の濃度4N以上のときは硫化水素で硫化銅沈澱せず鹽酸の濃度2N以下のときは硫化銅が沈澱する.
硫化銅を分析して銅は2價なることが知られる.鹽酸溶液に於て硫化水素で銅を沈澱させないものは2價銅の錯化合物なることが知られる. C5H402N2SCu(OH)Naから得られる橙色の化合物に於ける銅も2價である.

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