日本化學會誌
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本邦間歇泉の化學的研究(其一)
鳴子間歇泉の研究(第一報)
野口 喜三雄福島 隆太
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1940 年 61 巻 7 号 p. 677-682

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抄録

1) 鳴子湯泉樓間歇泉小噴孔の週期
昭和11年4月6日昭和12年7月8日
噴出繼續時間5時間1分3時間1分
噴出休止繼續時間2時間35分4時間19分
合計7時間36分7時間20分
2) 大噴孔は常に小噴孔より1分先に噴出し2分間噴出を繼續すれば止む
3) 湯泉樓間歇泉小噴孔に就て深さ1m30cm,大噴孔に就ては1m70cmの深さに於て温度の時間的變化を測定したるに噴出直前は稍温度高く,噴出休止直後は3~4度の温度降下が認められた.
4) 湯泉樓間歇泉大小兩噴孔に就て深さに依る温度變化を測定したるに大小兩噴孔は同一の深さに於てはほゞ同一の温度を示し,深さ1m30cmにて既に100°を示し,深さ6m30cmに於ては111.8°を呈した.
5) 湯泉樓間歇泉小噴孔に就て噴出開始より噴出休止に至るまでの時間に於て,吹上げる熱湯を時間の經過に從ひ14本の〓に分別採水し,其化學組成の變化を檢したるに
i) pHは噴出初期には7.7であるが,噴出を繼續するに從ひ増大し,噴出末期には8.0となる.
ii) 蒸發殘滓は噴出初期には2004mg/lであるが,噴出を繼續するに從ひ著しく減少する.
iii) Cl-は噴出の初期には601.9mg/lであるが,噴出を繼續するに從ひ著しく減少する.
iiii) SO4-はCl-とは逆になり,噴出初期には436.6mg/lであるが噴出を繼續するに從ひ増大する.
v) 重水濃度は噴出初期には+1.5γで僅に東京市水道水より重い程度であるが,これが噴出を繼續するに從ひ重くなり,遂に+4.0γに逹し後再び減少して輕くなり,最後に再び重くなり遂に+4.0γに逹する.
6) 湯泉樓間歇泉に於て檢出されたる天然瓦斯はN2が96.5%を占め,之にCO2, O2の少量混じたものであつた.

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