日本化學會誌
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ヌクレオチード,チアゾール型九種デヒドロゲナーゼの各種基質構造の差異による作用の強弱とMg..による賦活効果(第六報)
田所 哲太郎齋藤 恒行
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1942 年 63 巻 10 号 p. 1329-1332

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抄録

箸者等1)は酵母及胸腺ヌクレイン酸,ピリジン・ヌクレオチード,グアニール酸及びグアノシン等5種ヌクレオチード型とヴィタミンB1, 4-メチル・5-β-ヒドロオキシエチルチアゾール, 4-メチル・チアゾール・5-カルボン酸及び4-メチル・5-β-クロロエ・チル・チアゾール等4種のチアゾール型の合計9種デヒドロゲナーゼ作用を研究して酵素と基質構造の差異と作用の強弱關係並にMg..の賦活効果とを明にせり.酵素は燐酸脱離により構造中-CH2OH基を現して作用高まるも-COOH基に變化すれば作用減じ-CH2Clとなれば全く作用を矢ふ.又基質構造變化により作用も異り,アルコールの酸となり六炭糖中の-CH2OH基が-COOH基となりて減少し,更に-CHO基も亦-COOHとなりて2鹽基酸となるとき殆んど作用矢はるるに近し.アルコールと有機酸とにありて-CH2を増加すれど大差なく,ベンゼン核の増加も亦大差なきも安息香酸核により作用増大し,これに反し-NH2が入りてアミノ酸となれば作用減退す.又シスとトランス及び異性體間に大差なきも六炭糖の異性體間には差異を認む.以上基質構造中の變化に對して兩型酵素9種の態度は共にによく一致すれど六炭糖中-NH2基の存在によりヌクレオチード型は感應少きもチアゾール型は感應性大にして作用減退す.兩型9種酵素作用はMg..により賦活せらるゝこと強力にしてAl...及びFe..によりて弱く後者は有機酸にては認め難し.又Ni..及Cu..は兩型酵素作用を阻止すと述べたり,本報告には[1]ヴィタミンB1を亞硫酸曹達液による分解により酵素力を増大し,アミノアセトフェノン反應1〓となるに酵素力は8~9倍となる. [2]箸者等がヴィタミンB1より得たる4-メチル・5-β-ヒドロオキシエチル・チアゾール及び4-メチル・チアゾール・5-カルボン酸として使用せし酵素液は原物に對するアミノ・アセトフェノン反應を呈せざることを確めたり. [3]ヌクレオチード型チアゾール型兩酵素作用はマンニットよりフラクトースを基質とするとき強大なり. [4]グアニール酸の臭素吸收による枸櫞酸デヒドロゲナーゼ作用上のMg..賦活効果は變化せられ消矢するが故に二重結合にMg..に代りて臭素の入りしならんか. [5]ヴィタミンB1酵素作用上マンノースと-NH2添加のグルコサミン基質との差異はThunberg眞空中脱色法によりメチル青(E0=+0.004V)よりニール青(E0=-0.150_??_)間の差異に相當することを確めたり.

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