日本化學會誌
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デヒドローゲナーゼ酵素模型としてのチアゾル誘導體に關する研究(第一報)
田所 哲太郎齋藤 恒行高杉 直幹
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1942 年 63 巻 11 号 p. 1457-1459

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抄録

著者等は曩に生體内に發見さるゝが故にヌクレオチード,チアゾル型9種デヒドロゲナーゼとして酵母,胸腺ヌクレイン酸,コチマーゼ,グアニル酸,グアノシンの5種とヴィタミンB1, 4-メチル-5-β-ヒドロオキシエチルチアゾル, 4-メチルチアゾル-5-カルボン酸, 4-メチル5-β-クロロエチルチアゾルの4種に就きて述べたり.而も米胚芽中よりデヒドロゲナーゼ酵素を分離しヂヌクレォチードなることを證明せり.然るに4-メチルチアゾル-5-カルボン酸及び4-メチル-5-β-クロロエチル・チアゾルの兩者は生體内分布明かならず,合成チアゾル誘導體として4-メチル-5-β-ヒドロオキシエチルチアゾルを得たれば共にデヒドロゲナーゼ酵素模型としてその作用を研究し結果を報告すべし.
(1) 合成4-メチル-5-β-ヒドロオキシエチルチアゾルは僅に水溶解して251mμに吸収帯を有しpH7.2にて強き枸櫞酸デヒドロゲナーゼ作用あり.
(2) 該酵素模型の枸櫞酸及び焦性葡萄酸デヒドロゲナーゼ作用はACL3, CaCl2及びMgCl2のm/30000液にてpH8.0にて最も賦活効果高められ且つグリセリン,フラクトースにても作用を認む.
(3) 該酵素模型の沃素吸収せるものは焦性葡萄酸デヒドロゲナーゼ作用減退するが故にチアゾル核の二重結合に關係すべし.

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