日本化學會誌
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深海底土の化學の研究(其十)
深海底土の化學組成(第三報)
濱口 博
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1942 年 63 巻 12 号 p. 1689-1694

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抄録

既報に引續き7個のRed Clayについてその化學分析の結果を報告した.而して現在まで分析を完了せる18個のRed Clayの化學組成に關して綜合的な考察を加へ次の様な結果を得た.
(1) Red Clayはその分布地域の如何を間はずいづれも互に相似た化學組成を有する.
(2) Red Clayはあらゆる點に於て火成岩の變化したものであると認められる.
(3) Red Clayは火成岩の平均化學組成に比較してSio2, CaO, MgO等の含量が減少し, Al2O3の含量は殆んど不變, Fe2O3及びP2O5の含量は増大し特にMnO2の含量は著るしく増大してゐる.而してその傾向は典型的なRed Clayになるに從つて著るしい.
(4) Red Clayに於てはMgOが殆んど常にCaOより多い.
(5) アルカリ金属に關してはナトリウムがカリウムに比較して著るしく多いことが注目され,分子比はK2O/Na2O=0.2~0.8,平均0.4である.
(6) Red Clayの鑛物的組成を考察するに,筆者の分析した18個のRed Clayは極めて相似た鑛物的組成を有し,又各研究者の分析したRed Clayの鑛物的組成を互に比較しても其間に本質的な差異は認められぬ.

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