1942 年 63 巻 3 号 p. 217-223
葡萄糖を石灰によつて飽和したアルカリ性重水素重水或は重酸素重水に溶解し, 25~55°に10~18日間放置して果糖への轉移反應を起さしめ,それに伴つて葡萄糖と水との間の水素原子又は酸素原子の交換反應が惹起するか否かを研究した.其の結果に依れば, 25°に18日間放置して反應せしめた時には其の85%が果糖に轉移すると同時に,葡萄糖の1個分子に就き2個の酸素原子が交換せらるるも,炭素原子に直接に結合せる水素原子の交換反應は,實驗誤差の範圍内に於て認められなかつた.次に40°及び55°に於て10日間放置して反應せしめた時には,葡萄糖の約87%が果糖に轉移すると共に,其の1個分子に就き2個の酸素原子が交換せられ,〓つ又炭素原子に直接に結合せる水素原子の2個も同時に交換せらるることを知つた.之等の結果に基き,葡萄糖の果糖への轉移反應の機作に關して若干り考察を試みた.
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