日本化學會誌
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放射性指示作用による分析化學(第九報)
活性炭による微量鉛の收着に就て(其の一)
岸 春雄
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1942 年 63 巻 6 号 p. 668-676

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抄録

1. 先づ豫備的に數種の稀薄鹽類溶液の蒸發殘渣による放射線の吸收率を測定し,使用せる放射能測定容器に就て放射能測定上許容せらるべき鹽類濃度と其の收容量の限度とを決定せり.
2. ThB及び之にて指示性を附與したる硝酸鉛溶液を以〓各々の濃度増加に伴ふ活性炭への收着量を決定し,硝酸濃度の稀薄なる時はFreundlich收着等温式に從ふごとき型式の増加を示すも,然らざる時は收着量に殆ど變化なきことを認め,此現象を一部膠質化學的見地より説明したり.
3. 收着量は温度の上昇と共に減少し,又活性炭との接觸時間の經過と共に徐々に増加す.
4. 酸及びアルカリの鉛收着に及ぼす影響に關し,主としてH+及びOH-に基因する陰陽電荷と鉛イオンPb++との反撥力乃至は牽引力の大小によりて收着の數量的關係を説明したり.結果に於て酸濃度の増加は收着量の減少を招致し.アルカリの場合に在りては其反對なり.此の範疇に入らざる特異例はhybrid乃至は錯陰イオン形成に基くものと解釋せり.
5. 二.三のアルカリ鹽化物の收着に及ばす影響を觀察し,其等鹽類濃度の増大は何れも徐々に收着量の減少を來すことを認めたり.以上の要旨は以下第九報の全部を包含するものなり.

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