日本化學會誌
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亞鉛觸媒に關する研究(第二報)
亞鉛沈澱觸媒に於る原料鹽,沈澱劑の影響に就て
富田 彰
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1943 年 64 巻 4 号 p. 431-437

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抄録

一般に沈澱法による觸媒の活性能は原料鹽,沈澱劑の種類により著しく影響を蒙むるものにして,メタノール分解反應に於ける亞鉛沈澱觸媒も斯かる影響を免れ得ざるものと考へられる.依てこゝにこれらの影響を仔細に檢討した結果,次の結論を得た.先づ原料鹽としては鹽酸鹽は稍〓有害なるも,硫酸鹽,硝酸鹽,醋酸鹽は何れも殆ど同様に有効である.次に沈澱劑としては重炭酸アルカリ,炭酸アルカリは何れも水酸化アルカリに比し著しく優り,同種のアルカリに於ては有効さの順位はアルカリイオンの強さと平行的關係にある.尚,重炭酸アルカリ,炭酸アルカリの場合に於てはK+, Na+, NH4+の間に著しい差異なきに反し,水酸化アルカリに於てはK+, Na+に比しNH4+は著しく劣性である.この原因を追究した結果,微量のアルカリイオンの吸着が活性化の有効な一因であることを確めた.
更に,鹽基性炭酸鹽として沈澱したものが,水酸化鹽として沈澱したものに比し著しく活性大なる原因についてX線廻折像より考察し,結晶格子の不完全によるものなることを結論した.

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© The Chemical Society of Japan
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