日本化學會誌
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液體の粘度に對する電場の影響に就てI
木村 修
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1943 年 64 巻 6 号 p. 895-900

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抄録

1) 液體の粘度に對する電場の影響を研究する爲に特種なる粘度計を製作した.
2) 先づベンゼンクヘサン等の無極性の液體に於ては電場の影響無き事を確め,然る後に脂肪酸の同族體即ちラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸等の溶液に就き電場の影響を調べて分子の長さによつて其の影響が如何に變化するかを見た。更にオレイン酸,エライヂン酸,セチルアルコール及びエチルセルローズ等に就ても測定した.
3) 之等の測定により粘度は一般に電場に於て増加を示し,其の増加は同一溶液では濃度高き程大であり,更に
4) 溶質の分子の双極子能率のほぼ等しき溶液では溶質の分子の長き程影響は大である.エチルセルローズの如き長い分子では電場の影響は特に顯著である.
5) 之等の事實より電場による粘度の變化は分子の電場による方位性によるものと考へられる.

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