硫化水素を使用せざる定性分析法に關する研究(第三報)

硝酸蒸發乾涸法及び過鹽素酸白煙法による錫屬の分離(其二)

抄録

本報の(其一)に於ては主として硝酸蒸發乾涸法に就て報告し, (其二)に於ては主として過鹽素酸白煙法に就て報告す〓又錫屬殘滓處理法に就ても檢討を加へたり.
1.硝酸蒸發乾涸法及び過鹽素酸白煙法は何れも相對的なる分離法なり.
2.操作は前者は湯浴上に,後者は金網上直火にて行ふを適當とす.
3.操作は兩者共銀屬を鹽酸にて分離後行ふを適當とす.
4.乾涸後洗滌抽出液は前者に於ては混合抽出液(水50cc, 6N硝酸10cc,硝酸アムモニウム2g)を使用し,後者に於ては水を使用す.
5.他イオンの殘滓へ吸着さるる量は前者の場合には後者の場合に比して大なり.
6.錫屬殘滓の處理は溶解極めて困難なる場合多く種々の方法を試みたるも確實にして簡單なるものなし.