日本化學會誌
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ω-メチルビグアニドに關する知見シアナミド誘導體に關する研究第十八報
杉野 喜一郎泉 清三郎
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1944 年 65 巻 3 号 p. 265-270

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抄録

ヂシアンヂアミドとメチルアミン鹽酸鹽との熔融反應に於けるメチルビグアニド生成の模樣を追跡すると共に右反應に依りメチルビグアニド一鹽酸鹽(並に二鹽酸鹽)を合成し,其諸性質を檢して次報の試料となした.尚右に關聯して遊離メチルビグアニドを結晶として取出したる外,二三の鹽類を製し其性質を檢した
次に本報よりヂシアンヂアミドの事をグアニルシアナミドと呼稱する事する,ヂシアンヂアミドなる名稱は元來はその化學組成に由來する學術的名稱であつたのであらうが,今日では何等化學的の意味を有せぬ俗稱となつて居り之を學術論文に用ひる事は避く可きであらう.ヂシアンヂアミドの構造は最近筆者の一人(杉野)並に外國の研究者に依り大體明かとなり,其結果は從來のシアノグアニヂンなる名稱も不適當で寧ろ之をグアニルシアナミドと呼ぶのが最も適當であると今は考へてゐる.其理由並にヂシアンヂアミドの構造に關する詳細は筆者の一人(杉野)が最近電氣化學誌上に掲載した「シアナミド化學工業に就て」なる論文中***に記載してあるから右を參照され度い.只此の呼稱は未だ一般認められたものではなき故大方の御指教を得て完全なる用語としたいと考へてゐる.

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