日本化學雜誌
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極低圧に於ける吸着現象(第4報)
微分吸着エントロビーの考察
宇津 木弘
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1952 年 73 巻 12 号 p. 917-920

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抄録

吸着質を吸着剤表面に於ける二次元気体として理諭的に求めた〓A~θ関係と種々の吸着系の実験値より得た〓A~θの関係との比較を行って。実験結果は一般には種々複雑な様相を示し,從って吸着質の状態は一概に諭ずることは出来ないことが明らかになった。併しC2H5OHの場合その一部に, n-ブタンの場合は全範囲に亘り可動性膜が形成されていると見做すことが出来た。理諭的には単分子層吸着質の可動性は層々仮定されたがその真否を確かめる実験的根拠は未だ明らかにされていない。この報告の理諭は吸着質のエントロビーの実験値より可動性を推定する一方法を与えるものである。この方法が妥当なものであれば吸着質分子の性質を更に詳しく検計することが出来る様になり微分吸着エントロビーは重要な意義を持つものとなるものと思われる。本研究は更に続行中である。
終りに本研究に際し終始御懇篤指導を賜わった石川先生並びに樋口先生に厚く御礼申し上げる。又研究費の一部は樋口先生の文部省科学研究費より与えられた。

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