1958 年 79 巻 8 号 p. 914-916
微量シアンイオン分析法中FeiglやBrookeのものは, o-ジケトンジオキシムのパラジウム錯塩の塩基性溶液での配位子置換反応を応用しているが, 反応が不定なので半定量的肉眼比色しか行えない。著者らはこれを精度のよい光電比色分析法に改良した。フリルジオキシムパラジウム錯塩のアンモニア溶液をシアンイオン溶液に加え, [PdFr2]2-+4CN-→[Pd(CN)4]2-+2Fr2-の反応で遊離したフリルジオキシムを, 少量のニッケルイオンで発色させた直後, 0.5%ゼラチン水溶液を加えてふりまぜ, えられたα-フリルジオキシムニッケル錯塩の赤色懸濁液の吸光度を波長480mμで測定し, シアンイオン量を計算する。本法のおもなる改良点は強アルカリを用いず, 試薬をアンモニア性水溶液として使い, 塩化アンモンアンモニア緩衡溶液中で発色させることにある。その結果試薬溶液は比較的安定化し, 反応に際しては塩基性ニッケル塩を沈殿せず, またシアンパラジウム錯塩の生成を完結させえた。CN-の測定濃度範囲は0.5~5ppmである。
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