抄録
収着状態にある収着質の融点降下を支配するものが,収着剤表面にある毛細管の分布状態と収着質の種類と収着量であることはいままでに数回報告した。今回は収着剤に放射線を照射し表面の状態に変化を与えた場合,その収着剤に収着したものの融点が未照射の場合と比較してどのように変化するかを調べるのが目的である。収着質には水,収着剤にはケイ酸ゲル,パームチット,イオン交換樹脂アンバーライトIR-45の3種を選び,放射線源としてコバルト60を用いた。各収着剤の放射線照射試料と未照射試料にそれぞれ水を収着させ,収着状態における水の融点を示差熱量計を用いて測定したところ,各収着剤により異なる結果となったが実測された値は収着剤表面の毛細管分布と収着量を考慮して求めた理論値とよい一致を見た.