日本生態学会誌
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ヒメトビウンカの卵寄生バチに関する研究 : III.Anagrus nr.flaveolus WATERHOUSEの寿命と産卵力.
大竹 昭郎
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1969 年 19 巻 5 号 p. 192-196

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抄録
ヒメトビウンカはイネ縞葉枯病の媒介こん虫として知られるが, その卵寄生バチの主要なものとしてAnagrus nr.flaveolus(ホソバネヤドリコバチ科)が挙げられる.ここでは, 26℃, 18時間照明という条件の下で観察されたこの種類の成虫の寿命と産卵力について報告する. 成虫の寿命には変異が大きかったが, 砂糖水をあてがった場合, 平均寿命は雌雄ともに約3日であった.平均産卵数は約23であったが, これも変異が大きかった.36あるいはそれ以上をうむ個体もあった.いちじるしい点として, このハチは羽化後1日以内にほとんど全部の卵をうみ終ることが観察された.単為生殖によってうみ出された卵は, すべて雄であった.単為生殖と両性生殖との間には産卵力に差はなかった.成虫の寿命と産卵力との間には相関は認められなかった.このハチは非常に小さく繊細なので, 以上の観察をおこなうために特殊な装置が考案された.
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© 1969 一般社団法人 日本生態学会
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