1959 年 80 巻 2 号 p. 107-110
ZnO-CrO3系メタノール合成触媒のメタノール合成反応中における"グロー"現象の原因を究明する目的で,活性化された触媒の構造およびこれが熱処理によって受ける影響を調べた。その結果ZnQ-CrO3系触媒に特有な中間構造の存在が認められ,この状態にある触媒は高温処理によって安定な酸化亜鉛およびスピネルの構造に移行することがわかった。Zn(NO3)2-Cr(NO3)3系触媒においてはこのような中間構造の存在は認められないが,高温処理による挙動はZnO-CrO3系触媒と非常に似ている。したがって安定な酸化亜鉛およびスピネルへの構造の移行が認められる以上は,いずれの触媒も多かれ少なかれ発熱をともなうものと考えられる。この熱量の大きさいかんによっては,このような構造変化が"グロー"の主原因であるか,あるいは2次的に付随した原因であるかを判定しうるであろうが,これについては後報で述べる。
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