1959 年 80 巻 8 号 p. 828-833
3種の回転異性体が存在すると期待されるα-クロルプロピオニルクロリドについて,この3種の異性体が存在するか否かを知り各態種における異性体の分子形を決定するために,赤外線吸収の測定およびラマン効果の測定を行なった。さらに,メチル基を一団として7体問題で基準振動の計算を行なった。測定結果および計算結果から,固体ではトランス形,液休および無極性溶液ではトランス形およびゴーシュ形のほかに少量のゴーシュダッシュ形が混在し,気体ではゴーシュダッシュ形の量が増加し,トランス形およびゴーシュ形とともに3種の回転異性体が存在することが明らかとなった。液体での温度変化にともなう赤外線吸収帯の強度変化の測定からトランス形とゴーシュ形のエネルギー差はほとんどOca1/molであることが明らかとなった。
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