1959 年 80 巻 8 号 p. 906-909
第三ブチルクロメート酸化の後処理における過剰酸化剤の還元剤としては,しばしばシュウ酸が用いられ,硫酸ヒドラジンを使用した例もみられる。これらの還元剤による過剰酸化剤の還元について新知見を得た。シクロヘキセンの酸化において得られたヒドロキノンは,シュウ酸で過剰酸化剤を還元する際に,酸化で生じた p-ベンゾキノンが還元されて生成することが明らかになった。このため,キノン系化合物が生成する際には,シュウ酸で過剰酸化剤を還元するにあたって十分の注意が必要である。また,酸化で生じたカルボニル化合物が硫酸ヒドラジンと反応する場合には,過剰酸化剤を還元後,反応混合物を鉱酸の存在下に水蒸気蒸留するか加熱処理しないと,カルボニル化合物は遊離の状態では単離し得ない。そこで,水蒸気蒸留が不可能か鉱酸に不安定なカルボニル化合物が生成する場合には,硫酸ヒドラジンを還元剤として用いることは好ましくない。
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