日本化學雜誌
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d-リモネンの酸性白土による接触反応(第3報)少量の水の存在下における液相反応
古前 恒
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1959 年 80 巻 8 号 p. 909-913

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抄録

前報はリモネンの酸姓白土による接触反応について報告したが,本報ではさらにこの反応におよぼす少量の水の影響について検討した。前報と同様な反応条件すなわち酸性自土 5%, 150℃,1時間の条件でリモネン 1mol に対して 0.1, 0.5 および 1.0molの水を加えてそれぞれ反応させた。その結果 0.1mol の場合には水を加えない場合とほとんど変わらないが,順次水の量を増すことによりリモネンの変化が抑制されることを見いだした。つぎにリモネン 1mol につき水 0.5mol を加えた場合について反応時間をかえて生成物を検索した。1時間反応させた場合,リモネンはわずかしか変化しなかったが,生成物中の重合物を除いてさらに9時間反応させた結果,主生成物としてα-テルピネンを生じ,p-シメン,テルピノーレン,Δ2,4(8)-p-メンタジエン,Δ3,8(9)-p-メンタジエン,γ-テルピネン,α-テルピネオール,1,8-シネオールおよび重合物が生成した。またこの反応を適当な時間で停止し,低沸点部(モノテルペン炭化水素留分)を分離し,さらに新らしく触媒および水を加えながら5回反応をくり返した結果,リモネンは完全に変化し,主生成物としてかシメンとp-メンテン-3 をえた。また微量のΔ2,4(8)-p-メンタジエンおよびΔ3,8(9)-9-メンタジエンが副生した。リモネンから以上のような生成物が生ずる反応経路について考察した。

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