1960 年 81 巻 2 号 p. 187-191
広い温度域にわたる常磁性帯磁率および極低温における常磁性緩和による磁気比熱の決定等の実験的研究を通じて無機塩内の磁気イオン間の相互作用について構造化学的な考察を行なうものである。本報ではまず“磁気イオン間相互作用のpass”という概念を提出し, 磁気イオン相互の間に介在しているSO4,NH,,H20,C1等の反磁性分子原子が相互作用に及ぼす効果を上記の“pass”の構造化学的な種類別によって分類する方法を述べた。また帯磁率の測定の結果,それぞれ 3°,6°K 近に転移点を有する反強磁性体であることを明らかにした CoCl2・6H20 および NiCl2・6H20 について上記の“pass”の観点からその結晶構造を推定した。その他数種のニッケル塩について磁気的測定の結果を論じた。
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