日本化學雜誌
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鳥取県三朝温泉の化学的研究(第3~4報) (第4報)鳥取県三朝温泉の鉄含量の変化について
杉原 健
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1960 年 81 巻 2 号 p. 222-225

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抄録

鳥取県三朝温泉の主要源泉 30 の鉄含量の変化を, 1952年5月から1953年4月までの1年間測定したので, この結果を示した。最大含量はヒスイの湯湧出口の O.519mg/l, 最小は, 岩崎の湯の 0.05mg/l であった。また, 30 の源泉の平均含量は, 0.170mg/l, 2ヵ所の井戸水の平均鉄含量は, O.076mg/l, 川水の平均値は, O.159mg/l であった。 さらに,山田群 19 源泉の平均値は, O.201mg/l であるのに対して, 三朝群 11 源泉の平均値は, 0.117mg/l で, 山田群の方が約 2 倍含量が多かった。一般に鉄含量は気温, 泉温の高い夏季に多い傾向が見られた。年平均値による鉄と Cl- とは 5% 以下の危険率で正の相関が認められた。 また Fe/Cl- と HCO3-/Cl- との間にも, 特殊な源泉を別に考えると正の相関があり, 鉄は Cl- 濃度の増加とともに増加する傾向にあるが, 鉄と Cl- の変化の割合は一定ではなく, Cl- とは別の供給源からの鉄の供給があるので, Fe/Cl- の値は変動し, しかもその値は温泉源流の申心付近から周辺になるにつれて増加する傾向があり, HCO3-/Cl- の変化の傾向と比較的よい一致が見られ, 規則的であることが見いだされた。その他,鉄と pH, 鉄とマグネシウム, Fe/Cl- と Cl- との関係, 鉄と HCO3- , 鉄と水温等との関係について述べた。

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