1960 年 81 巻 5 号 p. 698-701
光学的方法によって行なわれた自由拡散の解析に際して, 不均一性にもとづく拡散曲線の変化については, 従来具体的定量的な知見にとぼしかった。著者は実験から得られた拡散曲線を正準座標に変換して, その頂点座標と成分の拡散定数や濃度との関係を2成分系, n成分系および対数分布関数系について理論的に考察し, 直接的な知見をうるに便利な関係を見いだした。とくに 2成分系について, その成分の拡散定数や濃度割合の変化にともなう正準拡散曲線の頂点座標の変化を明示し, その実質を明らかにした。またここで得られた諸関係を用いて 1) 塩化カリウムと庶糖, 2) 庶糖とグリシン, 3) ウシ血しょうアルブミンと庶糖の各2成分系についての実測値と理論値との比較から, 前述の考察の有用性を示した。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。