日本化學雜誌
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α-アミノアルコール類および関連化合物の立体化学的研究(第3~4報) (第3報)N〓Oアシル転位におよぼすアシル基の影響
石丸 寿保
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1960 年 81 巻 5 号 p. 769-773

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抄録

threo1,2-ジフェニル-2-アシルアミノエタノール(N-アシルDAE)のN→Oアシル転位およびO-アシルDAE塩酸塩の0→Nアシル転位におよぼすアシル基の影響について検討した。i)O-アシルDAE塩酸塩の含水ジオキサン中の電位差滴定で,解離定数の大きいハロゲン酢酸のアシル基は,解離定数の小さい酢酸のアシル基などにくらベアルカリ滴下後のPHの変動がはげしかった。ii)90%ジオキサン中のN→0アシル転位の速度定数(k2)とアシル基の相違による関連からつぎのことが明らかになった。
a)ギ酸以外の炭素鎖の短い脂肪酸,およびハロゲン酢酸のアシル基のk2は,原料脂肪酸の解離定数とほぼ逆の関係にあること。換言すれば脂肪酸の炭素数が少なく立体障害がない場合,Nの電子密度を減少させるアシル基ほどk2の低下をみた。
b)炭素数4以上の直鎖脂肪酸およびイソバレリアン酸には立体障害による影響が見られた。

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