1960 年 81 巻 5 号 p. 773-778
1,2-ジフェニル-2-アシルアミノエタノール類のN→Oアシル転位の反応速度におよぼす因子として,温度以外のいろいろな測定条件およびアシル基の影響などはすでに報告した。今回はN→Oアセチル転位の反応速度におよぼす温度の影響およびerythro(E),threo(T)の立体配置について検討するため90%ジオキサン中の活性化エネルギー(EA)および50℃ の反応速度定数(k2)を測定算出した。N→Oアセチル転位でN-CH3系のEのみ約90%Walden反転をともない,他は立体配置の変化がない。
測定温度10℃ の上昇に対するk2の増大率は,各異性体で異なるが約2.6~3.0で,50℃ のk2の大小と逆であった。また50℃このk2値は,TがEにくらべnor系で23倍,N-CH3系で120倍早く,各異牲体のk2の大小は,TCH3>Tn>En>ECH3の順でEA値と逆であった。これらの成績からE,Tの立体配置について考察した。
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