抄録
含イオウ有機化合物の農薬としての作用機構を追求するために,二,三の35S標識化合物の合成をこころみ, それらの共通の出発物質である二硫化炭素-35Sを,硫酸-35Sを還元して硫化水素-35Sとし,それを酸化して得られたイオウ-35Sと木炭との反応によって収率55~65%で合成した。さらにこれからエチルキサントゲン酸カリウム-35SおよびN-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム-35Sに導いたが,その硫酸-35Sからの放射化学的収率はそれぞれ25%および12.5%であった。
目的にしたがって比放射能の高いものを得るために,本合成においては高単位,少量を取り扱うのに適当な方法および装置をもちいた。