日本化學雜誌
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オキシン塩抽出による鉄,アルミニウム,マンガンの分離定量
森井 ふじ
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1961 年 82 巻 11 号 p. 1507-1509

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抄録

海藻中の鉄,アルミニウム,マンガンを簡単な操作で精度よく定量するための基礎条件を決定することを目的として,まずそれらのオキシン錯体をクロロホルム抽出法によって分離後分光光度法によって定量する方法について検討した。まず三者の pH-抽出曲線を求めた。鉄オキシン錯体はpH>2.0 で完全に抽出されるが,アルミニウム錯体は pH<3.1 ではほとんど抽出されず(抽出率<1.0), pH=4.8~10.0 で完全に抽出される。マンガン錯体の抽出率は pH<5.5 において 1% 以下であるが, pH=10.0~11.0 でほぽ 100% になる。したがって pH=2.8 においてクロロホルム抽出を行なうことにより鉄はアルミニウム,マンガンより定量的に分離され,クリロホルム層を用いてそのまま比色定量し得る。水層中のアルミニウムの定量にはさらにオキシンを加えたのち溶液の pH を 5.0 にして抽出し,そのクロロホルム層について行なう。残った水層中のマンガンはさらにオキシンを加えたのち溶液の pH を 10.0 にして抽出し,そのク0ロホルム層について行なう。三者共存の試料溶液(鉄 10~200μg,アルミニウム 5~40μg,マンガン10~60μg)に上記の方法を適用し ±2.0% 以内の誤差で分離定量し得た。

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