日本化學雜誌
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炭化水素の零点エネルギー項加成則
藤本 武彦新宮 春男
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1962 年 83 巻 1 号 p. 19-23,A2

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抄録

炭化水素の零点エネルギー項の異性化変分を検討し,主鎖の炭素数4以上の分岐異性体の零点エネルギー項の異性化変分は,分岐形式の種類および分岐位置にかかわらず,メチル分岐1個あたり一定値-0.80kcal/molに近似的に等しいことが推論された。この一定値を一般に分子の鎖端に対する補正項とみなして,残りの零点エネルギー項を各結合に配分すれば,パラフィン,オレフィンおよびベンゼン系炭化水素に対して共通の,5個の構造パラメーターを有する零点エネルギー項加成式をうる。
ただし,〓は炭化水素の零点エネルギー項;〓および〓=0.80kcal/molはそれぞれC-H結合,C-C結合,C-C結合(ただしC=C結合が鎖端に存在する場合はE〓の代りに修正パラメーター〓(H2C=C-C)=3.18kcal/molを使用)および分子の鎖端(メタンを含む正パラフィンおよび正オレフィンは鎖端2個を有するものとみなす)に配分された零点エネルギー項である。計算の精度は多種類の炭化水素について良好であって,〓の導入の意義が大であることが示される。その他シクロパラフィンの零点エネルギー項のパラフィン構造を基準とする偏差などについての知見を報告する。

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