日本化學雜誌
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光散乱による高分子電解質分子のひろがり
高橋 彰亀井 卓香川 〓美
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1962 年 83 巻 1 号 p. 14-19,A2

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抄録

分別したポリアクリル酸メチル(PMA)の各区分ならびにこれらをケン化して得たポリアクリル酸ナトリウム(Na-PA)につきつぎの各溶媒系について光散乱と粘度測定を行ない,溶液中のNa-PA分子のひろがりとその母体PMA分子のひろがりを求め比較を行った。(1)PMA-MEK・イソプロパノール(θ-27.5℃),(2)Na-PA1.5NNaBr水溶液(θ=15℃),(3)Na-PANaCl水溶液(0.1~4.6N),27.5℃(1)および(2)の溶媒系についてえられた結果はつぢのとおりである。θ状態におけるNa-PA分子のひろがりはその母体PMA分子のそれのほぼ1.3~1.4倍大きく,また(3)の各濃度のNaCl溶液でえたひろがりおよび粘度と塩濃度との間にまともにほぼ1.5~2NNaCl附近に最小点を有する曲線がえられた。この最小点のひろがりといえども母体PMAならびにNa-PAのθ状態でのひろがりより大であり,Fuoss-Straussの推定したようなHyper-CollingはNa-PA・NaCl系では生起しない。Floryの定数θを舗媒系について求めるとPMA,θ=2.1×1021,Na-PA(θ),θ=1.6×1021,Na-PA・NaCl系は塩濃度にほぼ無関係にθ=1.4×1021であり,電解高分子のθは非電解質高分子のそれよりかなり小さい。

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