多原子分子のイオン化解離の統計理論にふくまれる仮定を検討するために,最近KochとLindholmによって行なわれたイオン・分子間電荷移動によるエタノールのイオン化解離の実験的研究を基礎にして,イオンの基底状態とともに励起状態をふくむ系を理論的に取り扱った。その結果,イオンの励起状態の寄与を無視できないこと,有効内部自由度の数は内部自由度の理論数よりもかなり小さいことが結論された。また比較的簡単な内部励起エネルギー分布関数を用いてエタノールのマススペクトルを説明することができた。
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