日本化學雜誌
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ポリ-2-ビニル-N-n-ドデシルピリジニウムプロミド水溶液の表面張力および粘度
三浦 政治有地 鎮雄森田 越夫
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1962 年 83 巻 1 号 p. 32-36,A3

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抄録

母体ポリマーの平均重合度を異にする2種のポリソープを合成し,その水溶液の表面張力および粘度におよぼす臭化カリウムの影響を検討した。母体ポリマーとしては,極限粘度が0.363および1.640のポリ-2-ビニルピリジンを用いた。臭化ドデシルによる窒素の四級化度は,それぞれ31.6および35.5%であった。母体ポリマーの平均重合度が大きい場合,ポリソープ水溶液の表面張力はわずかに低下するのみであるが,平均重合度の小さい場合には,両者の臭化ドデシルによる四級化度はあまり違わないにもかかわらず,1%濃度で42dyne/cmにまで低下する。しかし普通の界面活牲剤,たとえばドデシルピリジニウムプロミドと比較すると,ポリソープの表面張力低下能はあまり大きくない。臭化カリウムを添加することにより,ポリソープ水溶液の表面張力は,母体ポリマーの平均重合度の大小にかかわらず顕著に低下する。ポリソープ水溶液の還元粘度は,母体ポリマーの平均重合度の大小に対応しているが,傾向としてはまったく等しく,臭化カリウムの濃度とともに最初減少し,ある極小値を経てふたたび増加する。また,Hugginsの定数々は添加した臭化カリウムの濃度とともに規則的に増加し,さらに過剰の臭化カリウムを添加すると,ポリソープは不溶牲となり析出沈殿してくる。これらの結果から,臭化カリウムの添加によるポリソープの表面張力低下能の増大は,ポリソープ分子の疎水性の増加に起因すると推測した。

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