日本化學雜誌
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ピロカテコールバイオレットを用いるホウ素の間接吸光光度定量法
日色 和夫
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1962 年 83 巻 1 号 p. 81-85,A6

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抄録

水溶液中で迅速簡単にホウ素と反応して,微量ホウ素の吸光光度定量に用いうる試薬を見いだす目的で種々実験をおこなった結果,さきにピロカテコールバイオレットがこの目的のために使用しうる試薬であることを報告した。本報においてはホウ素とピロカテコールバイオレットとが反応して,ピロカテコールバイオレット自身の吸収が減少することを利用してホウ素の吸光光度定量をおこなう,いわゆる間接法について検討をおこなった。得られた最適の定量条件は,ピロカテコールバイオレット濃度1.6×10-4mol/l,緩衝溶液濃度1mol/l溶液2.Oml/25.Oml,pH8.45~8.65,測定波長595mμであった。本法においては0.00~2.00ppmのホウ素量の範囲内でBeerの法則にしたがう直線関係が得られ,誤差は2.32%,もとめられた分子吸光係数はホウ素について2666であった。なお透光度比法を適用して2.00~4.40ppmのホウ素量の範囲内で吸光度との間に直線関係が得られ,誤差は1.02%であった。本法は水溶液中で呈色反応がおこなわれるため操作が簡単であり,かつ共存する多くの金属イオンはEDTAを加えてその妨害作用をインペイ除去しうる長所をもっている。

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